整腸作用のあるビオフェルミンは、大正製薬が1917年に販売を始めました。飲んだことのある方も多いのではないでしょうか?
そして現在注目されつつある成分の一つが「ラクトフェリン」です。
免疫力をアップし、インフルエンザや風邪の予防効果があるとして人気を高めています。
ラクトフェリンもまた整腸作用が期待できるとされています。
「自分に合うのはラクトフェリン?ビオフェルミン?」
ラクトフェリンとビオフェルミン、この2つにはどのような違いがあるのでしょうか?
それぞれの効果や違いについてご紹介します。
Contents
1ラクトフェリンと腸との関係
ラクトフェリンはヒトや牛の母乳、唾液、汗、血液などに含まれているタンパク質の一種です。免疫力の向上や貧血予防、感染症の予防などの効果があるとされていますが、腸にはどのような作用を持つのでしょうか?
ラクトフェリンと腸との関係を詳しく説明します。
1-1悪玉菌の増加を抑制
腸内にはカラダに有益な働きをする善玉菌と、カラダに悪影響を与える悪玉菌が存在しています。
悪玉菌は有害物質や発がん物質を増やします。これらの有害物質や発がん物質は腸から吸収され、血液と共に全身へと運ばれます。
その結果、免疫力が落ちる、発がんリスクが高まるなど健康を害してしまうことになります。
また、悪玉菌によって腸内環境が悪くなることで、便秘がさらに悪化することもあります。
このように、健康を守るためには腸内の悪玉菌を増やさないことが大切です。
そこでお勧めしたいのが、ラクトフェリンによる悪玉菌の増加抑制作用です。
悪玉菌は鉄をエサにして増殖しますが、ラクトフェリンはその鉄と結合する性質を持っているため、悪玉菌から鉄を奪い、その増殖を抑える効果があるとされています。
ラクトフェリンの働きにより、悪玉菌の増殖を抑えることで、腸内環境の健康を維持します。
1-2ビフィズス菌を増やす
ラクトフェリンはビフィズス菌を増やす作用を持っています。善玉菌であるビフィズス菌が増えることで腸内環境を良くする効果が期待できます。
ビフィズス菌は腸内で酢酸を作ります。
酢酸は強い抗菌力と腸粘膜を保護する作用を持っているため、悪玉菌の増殖を防ぎ、腸内環境を守ります。
また、腸のぜん動運動を活発にし、排便をスムーズにする作用も持っています。
「悪玉菌の増加を防ぐ」「ビフィズス菌を増やす」ラクトフェリンにはこの2つの腸への作用があります。
1-3ラクトフェリンの摂り方
ラクトフェリンは成分自体の名称です。そのためラクトフェリンを取るためには、ラクトフェリンが配合されている商品を使用することになります。
ラクトフェリンが配合されている商品は多数ありますが、形状は主に2つ。
- ヨーグルトタイプ
- サプリメントタイプ
それぞれの代表的な商品がこちらです。
【森永乳業ラクトフェリンヨーグルト】
ラクトフェリンを100㎎配合したヨーグルトです。
ほんのりと甘い加糖タイプのヨーグルトで小さいお子様でも食べやすいです。
ソフトタイプとドリンクタイプの2種類があります。
【DHCラクトフェリン30日分】
ラクトフェリンに加えビフィズス菌、オリゴ糖、ヒアルロン酸を配合したサプリメントです。
1日の目安量にはラクトフェリン300㎎が配合、水なしで飲めるヨーグルト風味のチュアブルとなっています。
【ホコニコのラクトフェリン+乳酸菌】
ラクトフェリンの他にビフィズス菌、フェーカリス菌の2種類の乳酸菌、オリゴ糖、デキストリンが配合されているサプリメントです。
DHCのサプリメントと同じく1日の目安量でラクトフェリン300㎎を摂ることができます。
カプセルタイプになっており1日2錠を目安に水で飲みます。
2ビオフェルミンと腸との関係
大手薬品メーカーである大正製薬から販売されているビオフェルミン。整腸剤として代表的な存在です。
お腹の調子を整えるということは何となくわかりますが、実際にはどのような作用を持っているのでしょうか?
2-1商品による効果の違い
ビオフェルミンにもいくつか種類があり、それぞれ含まれている成分が違います。
それにより効果が違うため、目的に合わせたものを選ぶ必要があります。
それぞれの商品の特徴をまとめました。
【新ビオフェルミンS】
ビオフェルミンシリーズの代表的商品であり、お腹の調子を整えるためにこの商品を購入する人も多いことでしょう。
新ビオフェルミンSは異なる働きを持つ3つの乳酸菌(フェーカリス菌・アシドフィルス菌・ビフィズス菌)を配合しています。
3つの乳酸菌が小腸、大腸に届けられることで腸内環境を整えます。
【ビオフェルミンぽっこり整腸チュアブル】
腸内にガスが溜まり、お腹がぽっこりするのを改善する薬剤です。
2種類の乳酸菌(ビフィズス菌・ラクトミン)と、ガスの原因となる便の排出をスムーズにする生薬(ケツメイシエキス)、ガスの気泡を消す作用を持つ消泡剤が配合されています。
水なしで口の中で溶けるヨーグルト風味のチュアブルとなっています。
【ビオフェルミン下痢止め】
下痢でお腹が痛い時、食あたりの改善のための薬剤です。
腹痛を伴う下痢に効果のある2つの生薬(ロートエキス・芍薬エキス)と下痢で傷んだ腸内を保護するビフィズス菌が配合されています。
【ビオフェルミン止瀉薬】
下痢止めの薬剤です。
下痢止め効果のある生薬(ゲンノショウコエキス・ロートエキス)と古くから下痢止めとして使われてきた成分タンニン酸アルブミン、乳酸菌のフェーカリス菌が配合されています。
粉末タイプになっており、水と一緒に摂ります。
◆止瀉薬の注意点◆
毒素やウイルスが原因でおこる急性下痢の場合は排出する必要があるため、むやみに止瀉薬を使うのは良くありません。無理やり下痢を止めることで、腸内で毒素やウイルスが増殖し、症状を悪化させてしまいます。
毒性やウイルス性が疑われる下痢の場合は、自己判断で飲むのは止めましょう。
病院へ行き、適切な処置を受けるようにしてください。
【ビオフェルミン便秘薬】
大腸の運動を促し、腸壁から水分が吸収されるのを抑えて便通を促す薬効成分(ピコスルファートナトリウム)にビフィズス菌、乳酸菌のラクトミンが配合された便秘薬です。
便秘に伴って起きる諸症状(肌荒れ、吹き出物、痔、食欲不振)などの緩和にも効果があります。
【ビオフェルミン健胃消化薬錠】
食べたものの消化を助ける消化酵素、唾液や胃液の分泌を促す生薬類(ガジュツエキス、ケイヒ末など)、乳酸菌のラクトミンが配合されています。
食べ過ぎや飲みすぎによって弱った胃腸の修復を助けるお薬です。
【ビオフェルミンVC】
腸内環境を整えるビフィズス菌、ラクトミンに加え、ビタミンC、ビタミンB2、ビタミンB6が配合されています。
お腹が張ってしまう原因の一つがガス(おなら)ですね。そのガスを生成する毒素の増殖を抑える効果があります。
3ラクトフェリンとビオフェルミンの違い
ラクトフェリンとビオフェルミン。細かな違いはありますが、両方ともに「腸内環境を整える」効果があると言えます。
それであればどちらを使っても同じなのでは?と思ってしまいますが、この2つには大きく異なる点があります。
使用する際にはこの2つの違いを把握しておくことが大切です。
3-1サプリメント成分と医薬品
まず大きな違いがこちら。
- ラクトフェリン・・・サプリメント成分
- ビオフェルミン・・・医薬品
ラクトフェリンはヒトや牛などの母乳、血液、唾液などに含まれているタンパク質の一種であり、天然由来の成分です。
肉や魚、乳製品にもタンパク質は含まれていますね。その点から考えるとラクトフェリンも食品に含まれている栄養素と言えましょう。
人工的に作られた成分ではないため、副作用の心配がありません。
大正製薬から販売されているビオフェルミンシリーズは、医薬品、またはそれに準ずるものとなっています。
薬事法によって市販されている医薬品はいくつかに分類され、ビオフェルミンもこれらに当てはまります。
◆第二類医薬品◆
「ビオフェルミン下痢止め」
「ビオフェルミン止瀉薬」
「ビオフェルミン便秘薬」
◆第三類医薬品◆
「ビオフェルミンぽっこり整腸チュアブル」
「ビオフェルミン健胃消化薬錠」「ビオフェルミンVC」
◆医薬部外品◆
「新ビオフェルミンS錠」
ラクトフェリンはサプリメントやヨーグルトなどに配合されている天然由来の成分。
ビオフェルミンは大正製薬から販売されている医薬品であり、薬効成分が配合されているという大きな違いがあります。
3-2カラダへの効果
ラクトフェリンは食べ物などに含まれている栄養素の一つです。病気や症状の治療効果はありません。
ラクトフェリンを摂ることで、自分自身が持つ自然治癒力や免疫力を高めることができます。
腸内においては、悪玉菌の増加を抑制し、ビフィズス菌を増やします。その結果腸内環境を整えることができます。
ビオフェルミンは医薬品です。医薬品は病気やケガの治療のために作られています。
ビオフェルミンにも天然成分であるビフィズス菌や乳酸菌が含まれていますが、それ以外に薬効を持つ成分も配合されています。
具体的にカラダへの効果の違いを表わすと
- ラクトフェリン・・・人間の持つチカラ(治癒力、免疫力など)を高めつつ腸内環境を整える
- ビオフェルミン・・・薬効により腸内環境を改善する
このようになります。
3-3使用できる年齢
ラクトフェリンは母乳にも含まれています。そのことからもわかるように小さなお子さんでも摂取することができます。
ラクトフェリンは年齢制限がなく、小さなお子さんから高齢者まで誰でも摂ることができます。
ビオフェルミンは使用できる最低年齢が決められています。
- 5歳以上・・・新ビオフェルミンS錠、ビオフェルミン止瀉薬
- 11歳以上・・・ビオフェルミン便秘薬、ビオフェルミン下痢止め
- 15歳以上・・・ビオフェルミン健胃消化薬錠、ビオフェルミンVC
ビオフェルミンは薬効成分が含まれており、体力のない小さなお子さんには成分が強すぎてしまう場合があります。
そのため使用できる最低年齢が定められています。
※新ビオフェルミン細粒は生後3か月から服用することができます。
3-4使用できる期間・使用できる人の違い
ラクトフェリンは食品にも含まれている栄養素の一つです。毎日食べ物を食べるのと同じく、摂り続けてもカラダには悪影響はありません。
ラクトフェリンにはカラダに対する様々な効果があります。そのため毎日摂ることで、腸内環境を改善するだけでなく、カラダ自身の自然治癒力や免疫力を高めることができます。
ビオフェルミンは2週間~1か月くらい服用しても症状が改善しない場合は、直ちに服用を止めるように注意が促されています。
長期服用しても症状が改善されない理由として、他に原因となる疾患があるかもしれないため使用期間を1か月と定めています。
またビオフェルミン商品の中には強い薬効成分が含まれているものもあります。
薬効成分を取り続けることで、カラダに耐性や依存性がついてしまう場合があります。
高齢者や持病を持つ人、妊娠中、授乳している人などは使わないようにと注意を促しているものもあります。
使用する際には必ず添付されている「使用上の注意」をしっかりと読むようにしましょう。
4一緒に摂っても大丈夫?
ラクトフェリンとビオフェルミンは一緒に摂ってもOKです。
ラクトフェリンは栄養素の一つであるため、ビオフェルミン以外の薬と併用しても大丈夫です。
ただし、普段からいろいろな種類の薬を飲んでいるという人は、ラクトフェリンと合わない場合もあるかもしれません。心配な場合は主治医に相談してください。
ビオフェルミンは医薬品です。他の薬と併用する際には主治医に相談することをおススメします。
5まとめ
ラクトフェリン、ビオフェルミンともに腸内環境を整える効果があります。ラクトフェリンは、即効性はないものの、摂り続けることで腸内環境を改善し、健康へも良い効果があります。
ビオフェルミンは腸内環境を整えることに特化したお薬です。また目的に合わせたものを選ぶことができます。
どちらも優れた効果を持っており、併用してもカラダに害はありません。
とりあえず併用から始めて、腸内環境が整ってきたらどちらかを選ぶのも良いでしょう。
腸内環境を整えつつ健康や美容への効果も期待したいのであればラクトフェリン。
腸内環境の改善、即効性を求めるのであればビオフェルミン。
というように自分の目的に合わせて選ぶのも良いかもしれませんね。